Pâlir 青褪めた

ADMIN
« 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30  »
#6092011.01.07
 誰かが呼んでいる、とあなたは言う
 はるかにかすむ地平を見やりながら
 あなたの凍りついた両足は
 この冬の土に根付いて久しい

 きみにあれが聞こえるかね、とあなたは言う
 あの物寂しく、うつろながらに煌めく歌声が
 いいえ、と私は応じる
 ただ生き物の音の途絶えたことはわかります、
 ここはとても静かな土地ですね
 まるで何もかもが死に絶えたよう

 あなたは首を振って言う、
 それは思い違いだよ、きみ
 ほら、こんなにも確かに
 はっきりと
 あんな遠くから僕らに、
 したたか呼びかけてくる、うつくしい音楽があるじゃないか

 あなたの両目には霜がまつわりつき
 眼差しは青く時を止めた氷河のようだ
 整えられた三つ揃いの黒服は半ば雪に埋もれ
 あなたの首は定まった方向を向いて動かない
 そのために、私とあなたの視線が交わることはついにない
 たった一つ、その唇ばかりが
 上下に震える会話の余韻に、まだしもあえかな熱を湛えている
 あなたはもう、どこへ行くことも叶わない

 痛みが呼んでいる、とあなたは言う
 聞きたくないものにはどうせ聞こえない
 わかりたくもないものに理解されるはずもない
 彼らがもっとも届かせたいものに、
 彼らの歌が届くことはついにないのだ

 黄色い太陽が凍土を焼く、
 独善の炎が私らを照らす、強烈に、影の残るほど
 私の縮まった手足はわずかに息を吹き返す
 安らかなため息のなかに、私は小さく伸びをした

 それでも、あなたの身体は凍りついたままだ
 | CM(0) | TB(0) | 

*COMMENT

*COMMENT POST

 管理人にのみ表示
 

*TRACKBACK


 » FC2blogユーザー
Photo by *05 free photo | Designed by *BUTTERFLY EFFECT